女性の悩み
公開日:2018年8月27日
更新日:2019年2月6日

男性ホルモンで薄毛になるのは女性も同じ?薄毛の原因と対策
女性の薄毛の原因のひとつにホルモンバランスの乱れがあります。男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れることで身体の不調が起こり、髪にも問題が発生します。
ホルモンバランスが乱れる原因と、乱れたホルモンバランスの直し方、そして女性の薄毛の原因と対策法をご紹介します。
女性でも男性ホルモンは分泌される
人の体内には、身体の成長や健康維持に関わるホルモンが分泌されています。様々な種類のホルモンが存在しますが、大きく分けると男性ホルモンと女性ホルモンの2種類があります。髪の成長にかかわりが深いのは男性ホルモンのテストステロンが、女性ホルモンのエストロゲンです。
男性でも女性でも、男性ホルモンと女性ホルモンの両方が分泌されています。もともと、女性ホルモンのエストロゲンの原料は男性ホルモンのテストステロンでもあります。テストステロンが卵巣内のアロマターゼという酵素によってエストロゲンに変化しています。
テストステロンの主なはたらきは髪を太くして成長を促進させることで、エストロゲンのはたらきは髪の成長を維持して抜け毛を減らすことです。つまり、髪の毛は男性ホルモンと女性ホルモンの両方のはたらきで健康に長く成長しています。
ホルモンバランスが崩れると抜け毛が増える
男性ホルモンのテストステロンは、髪以外にも筋肉や骨格の成長を促すため、身体を大きく成長させるために役立っています。女性の場合は男性ホルモンの分泌量は男性と比べると少なく、代わりに女性ホルモンの分泌量が多くなっています。そのため、女性は男性よりも基本的に体格が小さく、髪の成長期が長いため髪が伸びやすいのです。
ただし、これはホルモンバランスが正常な場合の話です。ホルモンバランスが乱れると、女性の髪は抜けやすくなります。
ホルモンバランスが乱れるのは、主に女性ホルモンの減少が原因です。エストロゲンが減少すると、髪の成長期も短くなり、ふだんよりも早く成長が止まって、髪は抜け落ちる準備を始めてしまいます。
女性の薄毛と男性の薄毛の違い

男性の薄毛は地肌が見え、やがてほぼ無毛になるほど進行するケースがあるのに対し、女性は男性のように地肌が見えるほど薄毛が進むことはありません。なぜなら、男性と女性では、薄毛になる原因が異なるからです。
男性の薄毛
男性の薄毛の原因は男性ホルモンの作用です。テストステロンが5αリダクターゼと呼ばれる酵素と結合すると、ジヒドロテストステロン(DHT)という、より強力な男性ホルモンへと変わります。DHTは髪の成長を止める作用があり、抜け毛を増やして薄毛状態の原因となります。この薄毛の症状を男性型脱毛症(AGA)と呼びます。
AGAは、生え際や頭頂部など、特定の部位で集中的に抜け毛が発生する特徴があります。その理由は、DHTを作る5αリダクターゼがこの2箇所に多く存在するからです。そのため、AGAが進行すると額が広くなったり、頭頂部だけが広い円状に毛が薄くなったりします。
女性の薄毛
女性の場合は、主に女性ホルモンの減少が原因で薄毛が進行します。髪の維持と成長を司るエストロゲンが減少するため、髪の成長が短くなり、抜けやすくなってしまうのです。こうしたホルモンバランスの乱れで抜ける症状を「びまん性脱毛症」と呼びます。AGAとは違い5αリダクターゼの影響ではないため、特定の部位ではなく、髪全体に症状が現れます。
なお、エストロゲンが減少はしても、男性よりはまだ分泌量が多いため、地肌が見えるほどに薄毛が進行するケースはごくまれです。ただし髪全体のボリュームが減少するので、薄毛であると周囲に気づかれやすくなり、老けた印象をもたれることもあります。
女性ホルモンが減る原因
びまん性脱毛症の原因は女性ホルモンの減少です。なぜ女性ホルモンは減少するのでしょうか。減少の理由はひとつだけではなく、数多く存在します。
老化
老化は女性ホルモン減少の主な理由のひとつです。エストロゲンをはじめとする女性ホルモンは、初潮を迎えた頃に分泌され始め、30代で分泌量はピークを迎えます。それ以降は急速に分泌量が減っていきます。
男性ホルモンの分泌も減少するのですが、女性ホルモンの分泌量の減少と比較すると微々たるものであり、年をとるごとに分泌量の差が縮まっていきます。その結果、ホルモンバランスが乱れてしまうのです。
ストレスによる血行不良とホルモンバランスの乱れ
ストレスも抜け毛に大きく影響を与えます。常日頃から強くストレスを感じていると、20代でもびまん性脱毛症を発症する恐れがあります。ストレスが髪にもたらす影響は、血行不良とホルモンバランスの乱れです。
血行不良
ストレスを感じると血行不良が起きるのは、自律神経の乱れを引き起こすことが原因です。
自律神経には、行動をする時に活発になる交感神経と、休息する時に活発になる副交感神経とがあります。ストレスを感じたときは交感神経が活発になり、血管が収縮します。あまりに長い間、あるいは大きなストレスを感じると自律神経は異常をきたし、リラックス時も交感神経が活発になって、血行不良を起こしやすくなります。
髪の毛は毛根が血液中の栄養を受け取って作り出され、育てられています。血行不良が起きれば頭皮に血液が送られにくくなって髪が栄養不足になり、育ちにくくなってしまうのです。
ホルモンバランスの乱れ
自律神経のはたらきが鈍ることと血行不良とは、ホルモンバランスを乱す原因となります。血行不良で冷えが起きると卵巣のはたらきが鈍り、アロマターゼのはたらきも鈍ってテストステロンがエストロゲンに変換されにくくなってしまいます。
生活習慣の乱れ
生活習慣の中でも睡眠不足と栄養不足はホルモンバランスの乱れに大きな影響をもたらします。
睡眠不足
睡眠不足はエストロゲンの分泌低下につながります。睡眠不足はストレスを蓄積させ、自律神経のはたらきを鈍らせてしまうからです。また、人は睡眠中に成長ホルモンというホルモンを多く分泌します。成長ホルモンの役割は、身体の成長やダメージの修復、そして疲労の回復です。しかし、睡眠不足によって成長ホルモンの分泌が減少すると、ダメージが抜けきらずに疲労が蓄積し、ストレスを感じやすくなってしまいます。
栄養不足
食事量や回数を減らすなどの無理なダイエットをすることで栄養が不足し、ホルモンバランスが乱れることもあります。特に、カロリーを控えようと脂質を全く摂取しない場合、ホルモンバランスは乱れやすくなります。なぜならホルモンの原料はコレステロール、つまり脂肪だからです。よって、ダイエットのために意図的に脂質を摂取しなかった場合、ホルモンの分泌に影響します。
また、髪や頭皮のもとであるタンパク質や、アミノ酸からタンパク質に再構築するためのミネラル、血行促進作用のあるビタミンなども大事です。どれかひとつでも不足すると髪の成長に悪影響を及ぼすため、髪が弱々しく育ち、抜けやすくなります。
これらの他にも、産後はホルモンバランスの乱れが一時的にですが発生します。ホルモンバランスを正すための解決策
ホルモンバランスを乱す原因である老化やストレス、生活習慣の乱れは、それぞれに適した対策を取ることで改善できます。それぞれの対策法をご紹介します。
老化に対する対策
老化を止めることはできませんが、適切な対策をとることで女性ホルモンの減少は抑えられます。有効な対策としては、身体の代謝を促進させることがあります。代謝を促進させることで女性ホルモンは分泌されやすくなります。基本的には、日常生活を規則正しく過ごし、適度な運動をすることで女性ホルモンを分泌するための環境は整いやすくなります。
薄毛の解消をしたいのであれば、育毛剤も有効です。育毛剤は頭皮に栄養を行き渡らせることで髪を育てやすい環境に変えてくれます。女性用育毛剤は女性の体質に合わせた成分が含まれているものが多いので、女性専用の育毛剤を探しましょう。
ストレスへの対抗策
ストレスが原因による血行不良は、半身浴で身体を温め、リラックスすることでストレス解消と血行促進効果が期待できます。さらにストレス耐性も身につけたいなら運動がおすすめです。身体を動かすことで血行が促進されるほか、運動強度が低いエクササイズはストレスの解消につながります。
なお、反対に体に疲労が残るほど激しすぎる運動はかえってストレスのもとになるので注意しましょう。
運動をすることで、脳の視床下部に適度な刺激を与えられます。脳の視床下部はホルモンの分泌を司る部位なのですが、ストレスによる影響を受けやすい性質があります。しかし、運動して身体を動かすことで脳が刺激を受け、その刺激を受け続けることで視床下部はストレス耐性を得られます。
生活習慣の改善
睡眠不足と栄養不足はどちらも不足を補うことが重要です。睡眠不足の場合はきちんと睡眠を取り、栄養不足の場合はバランスよく栄養を摂取しましょう。
睡眠不足の対処法
睡眠時間も大事ですが、睡眠の質も大事です。睡眠の質とは「いかに熟睡できたか」ということであり、寝る時間が長くても熟睡できていないと成長ホルモンの分泌量は不充分です。熟睡するためには体をリラックスさせることが大事であり、興奮していると寝つきが悪くなります。睡眠1時間前にはパソコンやテレビなどの光が脳を刺激するものは見ず、心を落ち着かせる時間を設けましょう。
栄養不足の対処法
基本は栄養バランスよく食べることです。特に脂質はホルモンの分泌に必須なのでしっかり摂取しましょう。ただ、脂質は多くの食材に含まれているので、意図的に摂取を控えなければ問題ありません。また、タンパク質、ミネラル、ビタミンの3つの摂取も意識してください。
食事が髪を作ります。今すぐ摂れるテクニックをご紹介!抜け毛を減らすには日常生活の見直しから

女性の薄毛の原因は、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスの乱れです。女性ホルモンが減少することで髪の成長は短くなり、髪は抜けやすくなります。
女性ホルモンが乱れる主な原因は老化ですが、不摂生を繰り返すことで20代でも女性ホルモンは減少します。
もし、若くして抜け毛が増えたのなら、まずは日常生活を見直しましょう。原因を突き止めたら、その原因に適した対策をしっかり行なうことで薄毛の進行は抑えられます。
栄養バランスのとれた食生活、充分な睡眠時間、適度な運動、ストレスをためこまずに解消する生活…と、ふだんの生活習慣の質を意識的に上げることで、抜け毛の原因は緩和され、症状も抑えられるようになります。