頭皮の悩み
公開日:2018年6月4日
更新日:2019年2月6日

頭皮へのダメージは?縮毛矯正と薄毛の関係について
縮毛矯正の仕組み

一般的な縮毛矯正およびパーマでは、髪の毛を半永久的に変形させるためパーマネントウェーブ剤を使用します。この薬剤は髪の毛にカールやウェーブをつけるウェーブ剤と、くせ毛をストレートにする縮毛矯正剤に分けられますが基本原理は同じです。
具体的には、髪の毛を構成するアミノ酸とシステイン分子が結合した状態である「シスチン結合」を還元剤で切断し、作りたい形の状態で一時的に固定します。ウェーブをつけるにはロッドを巻き、ストレートにするには直線状に伸ばすことで仕上がりが変わるのです。この状態で酸化剤を処理するとシスチン結合が再形成され、元とは別の毛髪形状に固定されます。
(出典:J-STAGE「頭髪化粧品の最近の動向」)
そもそも、髪の毛は「ケラチン」というタンパク質で構成されています。複数のアミノ酸が複雑な結合法則によって結び付くことで、その人の髪質が決まるのです。中でも、髪の毛の形状に大きく影響するのがシスチン結合です。この結合が真っ直ぐであるほど直毛になり、ずれているほどくせ毛になります。いずれにせよ、縮毛矯正はこのシチスン結合を利用して行われるわけですが、その手順をより細かくみていきましょう。
1.シチスン結合の切断縮毛矯正には複数の薬剤が使用されますが、中でも1剤と呼ばれるものがシチスン結合を切断する役割を担っています。別名「還元剤」と呼ばれるもので、チオグリコール酸、システイン、誘導体を主成分とするものです。シチスン結合が切断されると髪の毛は柔軟になり、形状変化が可能な状態となるわけです。
2.形状の決定縮毛矯正の場合、ヘアアイロンなどを使用して高熱処理を行います。これにより、ずれていたシチスン結合が矯正されて髪の毛が真っ直ぐになります。髪の毛の形状はこのタイミングで決まります。
3.シチスン結合の再形成矯正した髪の毛の形状を固定するため、2剤と呼ばれる「酸化剤」を使用してシチスン結合を再形成させます。国内では臭素酸塩を主成分としたものが一般的で、この酸化剤を用いて髪の毛を酸化させることにより形状の保持を実現させるわけです。
縮毛矯正は美容室で行うのが一般的ですが、使用する1剤および2剤、熱処理のためのヘアアイロンは市販されているため、自宅でも取り組むことが可能です。なお、1剤の還元剤と2剤の酸化剤は、薬剤により強さや配合されているケア成分が異なります。髪の毛や頭皮の状態に合わせて適切な薬剤を選ぶ必要があるので、ダメージが不安という方は美容師に任せるのがおすすめです。
縮毛矯正で薄毛になる可能性について
縮毛矯正が薄毛を引き起こすという説がありますが、縮毛矯正は既存の髪の毛に対して行うもの。毛根部分や頭皮に直接作用するわけではないので、抜け毛の原因になる可能性は低いといえます。髪の毛へのダメージは少なからずありますが、それが直接的な薄毛の原因となるわけではありません。
しかしながら、縮毛矯正に使用される薬剤は頭皮に対して刺激が強いものが多くあります。わずかでも頭皮に薬剤が付着すると炎症を起こし、抜け毛の原因となる可能性は十分に考えられます。特に、シチスン結合を切断するための1剤は頭皮のタンパク質にも働きかけるため、強い刺激となります。取り扱いには十分注意し、万が一頭皮に付着した場合はすぐに取り除かなければなりません。
また、縮毛矯正はその形状を維持するため定期的に施術を行う必要があり、回数が多くなるほど頭皮に薬剤が付着するリスクも高まります。加えて、ヘアアイロンで髪の毛を引っ張ることが頭皮への負担となり抜け毛が増加するケースもあります。
さらに、1剤によるシチスン結合切断の際、髪の毛の表面を保護する役割を担う「キューティクル」のほとんどが剥がされてしまいます。2剤によってある程度は修復できますが、頻繁に繰り返すとダメージが蓄積され既存のキューティクルが弱る恐れがあります。
これらの結果、髪の毛の艶やしなやかさが失われ、切れ毛やもつれにつながります。縮毛矯正自体に薄毛のリスクはほとんどありませんが、その過程に薄毛を引き起こすさまざまな要因が潜んでいるのです。
縮毛矯正で薄毛を進行させないために

縮毛矯正による薄毛リスクを下げるため、施術は信頼できる美容師に任せることが重要です。上述したとおり、縮毛矯正は自宅でも行えますが、薬剤の付着といったリスクやヘアアイロン使用時の髪の毛や頭皮への負担はより大きくなります。
縮毛矯正後は、髪の毛や頭皮のケアも見直すことが大切です。どれほど腕のよい美容師の施術を受けたとしても、頭皮へのダメージは避けることができません。それをケアするためにも、まずはシャンプーから見直してみてください。
頭皮ダメージケアには、肌に優しい弱酸性のシャンプーがおすすめです。薬剤や熱によって髪の毛が傷んでしまった場合は、修復促進効果のあるアミノ酸系のシャンプーが有効です。また、キューティクルの回復にはトリートメント剤の使用も欠かせません。髪の毛から艶が失われるなど確実なダメージが見られる場合、より念入りなケアが必要となります。
さらに、頭皮マッサージも薄毛の予防に有効です。髪の毛の成長には血液循環が大きく関係しています。頭皮マッサージによって血流量を増加させることで、髪の毛の密度も向上させることができるのです。
(出典:J-STAGE「ヘッドケアロボット使用が頭皮血流に与える短期的影響」)
縮毛矯正の影響で薄毛になってしまったら、定期的に頭皮マッサージを施して血行を促進させ、頭皮環境の改善に努めましょう。頭皮の血行が促進されると抜け毛の減少はもちろん、育毛効果まで期待できます。
今日から始められる効果的な頭皮マッサージ方法をご紹介します。
- 両耳の前後をゆっくりと揉み、うなじ付近から胸にかけて流すようにさすります。
- 耳たぶを回しながらほぐし、そのまま耳から頭頂部に向けてさすり、再びゆっくりと耳まで戻します。
- 頭皮全体を指の腹で掴むように揉みます。そのまま額の生え際に指を置き、圧迫しながら円を描くように頭皮を動かします。同様に、こめかみにも指をあて頭皮を引き上げるよう手ぐしを通します。
- 指先で頭全体をリズミカルにはじいた後、指を後頭部のくぼみに置き、ゆっくりと顎をあげます。これを3回繰り返し、最後に大きく深呼吸して終了です。
(出典:J-STAGE「地肌マッサージの頭皮への作用」)
頭皮の血行促進には、圧迫によるマッサージが有効です。また、強擦も血流量増加に期待できるとされています。この2種類のマッサージを組み合わせることにより、自宅でも効果的な頭皮マッサージが可能となるのです。
縮毛矯正後にはヘアケアが欠かせない
縮毛矯正やパーマが、直接的な薄毛の原因となるわけではありません。しかしながら、刺激の強い薬剤と強力な熱を髪の毛に触れさせるのは確かです。完全にダメージを防ぐことはできないので、施術後の髪の毛や頭皮のケアが欠かせないのです。正しいヘアケアと頭皮マッサージで、縮毛矯正によるダメージを抑えるよう心掛けましょう。