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公開日:2018年7月20日

更新日:2018年9月5日

多発性円形脱毛症は治せるのか?体験談からわかる治療の実態とは

多発性円形脱毛症は治せるのか?体験談からわかる治療の実態とは

円形脱毛症には複数の種類があり、原因によって治りやすさやや治療法に違いがあります。また、症状の分類が同じでも完治が難しい場合もあります。

多発性円形脱毛症を中心に、円形脱毛症の原因や治療法についてご説明します。

円形脱毛症の原因と、関連する3つの要素

薄毛

円形脱毛症の原因については、まだ不明の部分が残っています。原因として有力視されているもの、そして発症に深く関係すると考えられている「3つの要素」について確認します。

自己免疫疾患による発症の可能性

最も有力視されている説は「体内の免疫細胞が髪を生やす組織を攻撃することで円形脱毛症が起きる」というものです。
本来、免疫細胞はウイルスなどの外敵を攻撃して身体を守るものです。ですが円形脱毛症を発症した髪の組織を観察したところ、免疫細胞がなぜか、外的ではなく自分自身の体組織である毛根を攻撃していることがわかりました。なぜ免疫がこのような動きをするのは完全には解明されていませんが、主に3つの要素が関係していると推測されています。

要素1.遺伝による発症

海外での研究・調査を見てみると、中国では円形脱毛症患者の8.4%に家族内での発症が確認されており、また親族との血縁が近いほど発症率が高くなっていた、との報告があります。

欧米の調査では、1等親内(親子の関係)では一般の10倍ほど発症しており、また一卵性双生児の場合は55%の確率でともに円形脱毛症を発症していたことも確認されました。
以上のことから発症には遺伝の要素のかかわりが大きいと考えられています。
出典:日本皮膚科学会 『日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版』

要素2.アトピー性疾患による発症

アトピー性皮膚炎、軽度のアレルギー性鼻炎、気管支ぜん息などのアトピー性の疾患との相関も推測さされています。

日本国内の調査で、円形脱毛症患者200人のうちアトピー性疾患になりやすい因子(アトピー素因)をもつ家族のいる割合は54%で、患者本人にも41%の確率でアトピー素因が発見されています。
出典:勝岡憲生 『アトピー性疾患と円形脱毛症―アトピー性円形脱毛症―』(1999)

また、アトピー性疾患にかかっている円形脱毛症患者のうち、13%が単発性、33%が多発性、44%が全頭性、57%が蛇行性の円形脱毛症を発症しています。
出典:臨床皮膚科 『新潟大学における最近 6 年間の円形脱毛症の統計的観察』(1987)

これらの調査結果から、アトピー素因をもつ円形脱毛症患者ほど重症になる傾向があることもわかります。

要素3.過剰なストレスによる発症

円形脱毛症と精神的なストレスの関係は、長らく議論されています。患者自身が「精神的ストレスがきっかけだ」と訴える場合もあれば、ストレスを全く自覚しない患者もおり、一概に「精神的なストレスが円形脱毛症の引き金である」とは断言できないのが実情です。

ただ、人が多くの精神的ストレスを抱えるとホルモンバランスを崩して様々な体調不良を起こすことは事実です。「精神的ストレスが髪を生やす組織にどう影響するのか」の研究が進めば、いずれストレスと円形脱毛症との関係も判明するかもしれません。

多発性円形脱毛症で用いられる治療法

日本皮膚科学会は、円形脱毛症の治療法に対して推奨度を定めています。推奨度が高ければ、それだけ治療効果も期待できるということです。多発性円形脱毛症で5段階の推奨度のうち上から2番目の「推奨度B:行なうよう勧める」とされる3つの治療法について解説します。
出典:日本皮膚科学会 『日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版』

1.局所免疫療法

局所免疫療法は、脱毛箇所が頭部全体の25%以上の円形脱毛症患者に対して推奨される治療法です。治療の推奨度はBで、年齢・性別を問わず重症化した円形脱毛症に適しています。

副作用としてかぶれ、リンパ節の腫れ、頭痛、だるさ、蕁麻疹(じんましん)、色素沈着や白斑を起こします。また、甲状腺の疾患を伴う場合や汎発性の円形脱毛症に対しては、改善効果が薄いのが課題です。
加えてアトピー性皮膚炎を引き起こしている場合、皮膚炎の症状が悪化する恐れがあるので、治療に臨む際は、副作用について充分な理解と患者の同意が必要です。

■治療方法

皮膚にかぶれを起こす薬を患部に塗り、わざとかぶれを起こして自己免疫疾患による脱毛症状を弱めることを目的とします。わかりやすく言うと、本来は外敵を攻撃する性質をもつ免疫細胞に、かぶれを起こす薬品という「外敵」を与えることで、毛根への攻撃を止めさせようとする方法です。

1~2週間に1回、薬品を塗布し、経過にあわせて薬品の濃度を調整し、自己免疫疾患を回避できる状態を維持します。

なお、この薬品が医薬品ではないため、治療には保険が適用されません。治療費の相場は1回の施術で1,000~1,500円程度と、極端に高額なものではありません。とはいえ、治療の頻度は高く、期間も長期に及びうることを考慮して、医療機関に事前に費用を確認することをおすすめします。

2.ステロイド局所注射療法

ステロイド局所注射療法は、患部が頭部全体の25%未満の単発性/多発性円形脱毛症の成人患者に推奨される治療法です。治療の推奨度はBです。小児には原則、行ないません。

注射箇所での血管拡張、皮膚のちぢこまり、痛みなどの副作用が確認されています。また、患部の範囲が広い場合は注射回数が増えて負担が大きいため、別の治療法を検討したほうがよいでしょう。

■治療方法

炎症や免疫力を抑えるステロイド剤を、真皮や皮下脂肪に達する領域に注射で注入します。皮膚がちぢこまって硬くなる恐れがあるので、注射後は施術箇所をよく揉みます。
4~6週に1回の頻度で行なわれます。

3.ステロイド外用療法

単発性か純粋な多発性円形脱毛症に対して効果を発揮する治療法です。1日に1~2回ほど成分の強いステロイド剤を患部に塗ります。

副作用としてニキビや皮膚のちぢこまり、血管拡張、患部のへこみがあり、経過を観察しての治療が必要です。また長期的な使用は推奨されません。

なお、2010年度版の「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン」では推奨度は1段階下の「C:行なってもよい」であり、その後新たな医科学的証拠も実証されていませんが、軽~中度の円形脱毛症に対して多くの改善効果を示し続けていることから、2017年度版のガイドラインでは推奨度が「B」に昇格しました。

■治療方法

患部に適量のステロイド剤を塗ります。今後、脱毛の恐れがある箇所への使用も可能です。

他の治療方法を行なう場合

医療機関によっては、ここまでに紹介した3つの治療法より推奨度の低い「推奨度C1:行なってもよい」に相当するミノキシジルの外用、冷却治療や紫外線療法を提案されることもあります。

これらのC1の治療法は、推奨度Bの治療効果を高めるために併用されるか、あるいはステロイド局所注射療法を受けられない一部の患者に対して推奨されます。

多発性円形脱毛症は完治するのか

円形脱毛症は単発性や多発性、蛇行性など症状の種類と程度によって、治りやすさに差があります。多発性円形脱毛症の完治の見込みはどの程度あるのでしょうか。

重度の円形脱毛症は完治しづらい

多発性円形脱毛症は単発性より重度で、全頭円形脱毛症より軽度な症状です。早期発見された単発性円形脱毛症や、脱毛の範囲が狭い多発性円形脱毛症は完治する見込みも高くあります。

一方で、全頭性や蛇行性、汎発性といった重度の円形脱毛症、症状の悪化した多発性円形脱毛症は完治しづらくなります。ただし、重度の円形脱毛症でも治療による寛解*も期待できます。寛解の程度には個人差がありますが、再発しないケースも多くあります。

*寛解とは

寛解とは、完治といかないまでも、症状が落ち着いた状態を指す医療用語です。治療や自然治癒の結果、症状が一時的に軽減したり消えたりしていれば寛解、と言えるでしょう。

寛解の状態を「完治した」と誤解する人もいますが、寛解は「落ち着いた状態」に過ぎず、「完治する可能性も、再発する危険性もある状態」とも言えます。治療を止めるかどうかは医師の判断を仰ぐべきです。

多発性円形脱毛症と向き合った人の体験談

多発性円形脱毛症を患った人の体験談を3例ご紹介します。

1.発症から9カ月 S.Hさんの場合

多発性円形脱毛症と診断されてから9か月たちました。診断されて以降、通院して治療を受けていますが症状は悪化の一途ですね。現在は、まだら状に13カ所以上も脱毛していて蛇行性の特徴も出てきたようです。

液体窒素とステロイドの塗り薬を使っていましたが、今では漢方薬やカルプロニウム、抗ヒスタミン薬をとっかえひっかえに使用しています。脱毛箇所から髪が生えても別の場所で脱毛するイタチごっこを繰り返していて辛いです。治る見込みがないか色々模索中です。

2.発症から3年 K.Uさんの場合

3年ほど皮膚科に通いましたが、私の場合は多発性円形脱毛症の症状がかなり進んでいて、完治するのは難しいと言われました。10円ハゲのよう軽い段階なら治るケースもあるようですが、症状が進んでいる場合は根気の強い治療が必要なようです…

現在では、経済的な負担は通院にかかる時間を踏まえて、治療をあきらめています。親交の深い友人や家族にはカミングアウトしていますが、常にウィッグで生活しています。割り切るまでに時間はかかりましたが、気持ちがかなり楽になったので、やみくもに治療を続けるより良かったかもしれません。

3.発症から7年 E.Kさんの場合

私は20歳のころから円形脱毛症を発症して、24歳の時に妊娠したのをきっかけに一気に脱毛が進みました(悪化してからは多発性円形脱毛症と診断されています)。当時のお医者さんの話によると、妊娠の影響でホルモンバランスが乱れたのが大きな理由だったそうです。

出産後、症状が落ち着いて脱毛箇所から髪が生えるようになりました。2年後に二人目を妊娠してから、症状がぶり返して頭だけじゃなくてまつ毛なんかも脱毛しました。もちろん妊娠を後悔しているわけではありませんが、正直、妊娠の喜びより脱毛の恐怖感の方が強かったですね。

今では育児をしながら、ローションの塗り薬や内服薬なんかを試して多発性円形脱毛症と奮闘しています。自分ひとりじゃとっくに挫折していましたが、旦那の支えや子どもたちの成長の喜びを励みに今後も治療していきたいです!

円形脱毛症は向き合う姿勢が肝心

男性

円形脱毛症は自己免疫疾患による症状である、というところまではわかったものの、なぜ自己免疫疾患が起きるのかはいまだに解明されていません。また、遺伝やアトピー性疾患、過剰なストレスといった要素は発症との相関関係が認められているものの、「円形脱毛症につながる」と断定できるほどではなく推測の範疇を出ません。

多発性円形脱毛症は、症状の重さ、進行具合によっては完治が難しい脱毛症です。ですが、局所免疫療法やステロイド局所注射、外用療法などの日本皮膚科学会による推奨度の高い方法の中から自分の症状に適した治療を行なえば、完治は難しくとも寛解は期待できます。

円形脱毛症は長期的な治療が必要な症状です。治療にかかる時間や経済的な負担を吟味し、継続できる治療を選びましょう。

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