ミノキシジル大学
公開日: 2018年11月29日
更新日: 2018年11月29日

フィナステリドとミノキシジルの違いを知りたい!その効果と副作用は?
フィナステリドとミノキシジルはAGA改善へのアプローチが違う
「フィナステリドとミノキシジルは効果も副作用も違う!」AGA治療薬の二大巨頭ともいえる「フィナステリド」と「ミノキシジル」。両者はAGA改善への作用機序も違えば、副作用も違います。ここではフィナステリドとミノキシジルのメカニズムや副作用、そして入手方法などについて解説します。
- フィナステリドとミノキシジルの違いについて
- AGA(男性型脱毛症)について
- フィナステリドについて
- フィナステリドの効果と副作用について
- ミノキシジルについて
- ミノキシジルの効果と副作用について
- ミノキシジル外用薬の購入方法について
(このコラムのポイント)
フィナステリドとミノキシジルってなに?違いはあるの?
ひとくちに「AGA(男性型脱毛症)の治療法」といってもいろいろなものがあり、効果が大いに期待できるものから、治療効果の科学的検証が行われていないものまでさまざまあります。
そうしたAGA治療の1つの指針となるのが、日本皮膚科学会によって作成された「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版(※1)」です。
このガイドラインでは、さまざまなAGA治療法の研究データなどを検証して、その有効性を5段階に評価しています。そのなかで最も高い評価「推奨度A:行うことを強く勧める」に分類された治療法は下記の3つでした。
- ミノキシジルの外用(薬)
- フィナステリドの内服(薬)
- デュタステリドの内服(薬)
「ミノキシジル」「フィナステリド」「デュタステリド」の3つとも、クスリの商品名ではなく、“一般名”つまり薬効成分の名称です。
この記事では、「フィナステリド」と「ミノキシジル」にスポットを当てて、その効果と副作用について解説します。
「フィナステリド? ミノキシジル?」まずはAGAについて知ろう!
AGAはヘアサイクルの乱れでおこる毛髪の不発不育状態
AGA(男性型脱毛症)になると、毛髪がヘアサイクル(毛周期)を繰り返す過程で「成長期」が短くなり、「休止期」にとどまる毛包が多くなります。その結果、前頭部や頭頂部の毛髪が軟毛化して、短くなり、最終的には毛髪が表皮に現れなくなります。
「テストステロン」、「5αリダクターゼ」と「ジヒドロテストステロン」
AGAの発症には、遺伝的要因と男性ホルモンが関与しています。男性ホルモンの1つである「テストステロン」が、血液によって毛母細胞に運ばれてくると、「5α還元酵素」の働きで「DHT(ジヒドロテストステロン)」という、より活性が高い男性ホルモンに変化します。
「毛乳頭細胞」、「男性ホルモン受容体」と「増殖を抑制する物質」
毛包にある「毛乳頭細胞」には、「男性ホルモン受容体」があります。DHTが男性ホルモン受容体と結合すると、「成長期」が延長されます。しかし、前頭部や頭頂部の男性ホルモン受容体と結合すると、毛母細胞の「増殖を抑制する物質」が誘導され、ヘアサイクルの「成長期」が短縮されます。
つまり、ざっくり言うと、
「テストステロンがDHTに変化して、毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体と結合すると、AGAが進行する」
ということです。

フィナステリドとは?/フィナステリドがAGAの進行を抑制する
フィナステリドの先発薬「プロペシア」と、さまざまなジェネリック医薬品
「フィナステリド」は、 前述の「5α還元酵素」の働きを阻害する作用のある成分です。
「フィナステリド」を主成分とするAGA治療薬は、日本ではMSD社の「プロペシア」がよく知られていて、フィナステリドの含有量によって「プロペシア錠1mg」と「プロペシア錠0.2mg」の2種があります。
また、現在ではジェネリック医薬品(後発医薬品)もつくられていて、フィナステリド錠「トーワ」(東和薬品)、フィナステリド錠「サワイ」(沢井製薬)、フィナステリド錠「FCI」(富士化学工業)など、数社からさまざまな商品名で製造・販売されています。
フィナステリド内服薬(錠剤)は劇薬指定の「処方箋医薬品」です。入手するには、医師の処方箋が必要です。つまり、フィナステリド内服薬を使用したい場合には、AGA専門クリニックや皮膚科などで医師の診察を受ける必要があります。
フィナステリドの作用
さて、フィナステリドは、AGAに対してどんな効果があるのでしょうか?
フィナステリドは、前述のように「5α還元酵素」の働きを阻害します。つまり、フィナステリド内服薬を服用すると、次のような作用で、AGAの“進行が抑制”されます。
<フィナステリドのメカニズム>
- フィナステリド錠を服用。 ↓
- 5α還元酵素の働きが阻害される。 ↓
- テストステロンからDHTへの生産(変化)が抑制される。 ↓
- 毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体に結合するDHTが減少する。 ↓
- 「毛母細胞の増殖を抑制する物質」の生産が抑制される。 ↓
- AGAの進行が抑制される。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、「フィナステリドを飲んだら発毛する」のではなく、「フィナステリドの作用でAGAの進行を遅らせる」ということです。
フィナステリドの効果と副作用
フィナステリドの効果
フィナステリドを使用すると、どの程度の効果が期待できるのでしょうか?
フィナステリドは、1日1回、医師に指示された量を服用します。
プロペシア(主成分:フィナステリド)を長期投与したデータによると、治療期間ごとに下記のような効果が期待できるという報告があります。
<フィナステリドの治療期間ごとの期待される効果>
治療期間 |
期待される効果 |
---|---|
開始〜3か月 |
抜け毛の減少 |
4か月〜6か月 |
うぶ毛が太くなり、伸びる |
6か月〜1年 |
明らかな抜け毛の減少 |
1年〜3年 |
薄毛が徐々に減る |
4年以上 |
改善した毛髪が維持される |
(転載:MSD社「プロペシア:治療期間ごとの期待される効果」)
このように、早い人では使用開始3か月くらいから効果が現れはじめ、6か月くらいでほとんどの人が効果を実感するようになるようです。
また、「使用者の98%の人で3年間、AGAの進行が認められなかった」という報告もあります。
フィナステリドの副作用
では、副作用にはどのようなものがあるのでしょうか?
プロペシア(主成分:フィナステリド)の添付文書に記載されている、副作用を挙げてみましょう。
<プロペシア内服薬のおもな副作用>
- 掻痒感、じんましん、発疹、血管浮腫
- 睾丸痛、男性不妊症、精液の質の低下
- リビドー減退
- 勃起機能不全、射精障害、精液量減少
- AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇
- 乳房圧痛、乳房肥大、抑うつ症状、めまい
フィナステリドで特徴的なのは、ED(勃起不全)や男性不妊症などの副作用がでる可能性があることです。
使用中に副作用かなと思われる症状を感じた場合は、すぐに医師に相談すべきでしょう。
(※上記参照資料)
プロペシア錠 臨床成績<国内データ (3年)>
プロペシア(添付文書)
ミノキシジルとは?/ミノキシジルの発毛のメカニズム
もとは高血圧症の治療薬だったミノキシジル
ミノキシジルは、血管(動脈)拡張作用や発毛効果のある成分です。
ミノキシジルの血管拡張作用を薬効としてつくられたのが「ミノキシジル内服薬」で、高血圧症治療薬として用いられています。
ミノキシジルの発毛効果は、「毛乳頭細胞への直接作用」
一方、発毛作用を薬効とするのがミノキシジル外用薬です。
ミノキシジルの発毛作用のメカニズムは、かつては血管拡張作用によって頭皮や毛母細胞付近の血流が改善され、発毛が促されると考えられてきました。
しかし、近年の研究では、下記のように毛乳頭細胞への直接作用によって発毛が促されることがわかってきました。
<ミノキシジルによる発毛のメカニズム>
- 毛包のミニチュア化の抑制
- 毛母細胞・毛乳頭細胞の増殖促進
- ヘアサイクルの「休止期」の毛母細胞を「成長期」へと移行促進
- 「成長期」の期間の維持
このように、ミノキシジルはフィナステリドとは別のアプローチでAGA治療を行います。また、男性ホルモンには作用しないため、女性の壮年期脱毛症にも効果的だといわれています。
ミノキシジルの詳細については、

ミノキシジルの効果と副作用
長期使用研究データでわかる、ミノキシジル外用薬の効果
ミノキシジルには、どのような効果が期待できるのでしょうか。
ミノキシジル外用薬(5%製剤)を長期使用した研究データを見てみましょう。
(太字)<ミノキシジルの治療期間ごとに観察された効果>(太字おわり)
治療期間 |
効果(医師による評価 |
---|---|
4週間後 |
約4%に「軽度改善」が見られるが、残りは「不変」。 |
12週間後 |
約6割が「軽度改善」。 |
16週間後 |
「中等度改善」がはじめて確認される(約1割)。 |
24週間後 |
「著明改善」がはじめて確認できる。 |
52週間後 |
「著明改善」11.1% |
(参照|市販のミノキシジル外用薬の発毛効果データより)
このように、約1年で、使用者の97.8%の人になんらかの発毛効果が観察されました。
ミノキシジル外用薬の副作用
では、ミノキシジルの副作用にはどのようなものがあるでしょうか?
ミノキシジル外用薬の添付文書に書かれている「副作用」を確認してみましょう。
<ミノキシジル外用薬の副作用>
- 頭皮の発疹・発赤、かゆみ、かぶれ、フケ、使用部位の熱感等
- 頭痛、気が遠くなる、めまい
- 胸の痛み、心拍が速くなる
- 原因のわからない急激な体重増加、手足のむくみ
このなかで、とくに「かゆみ(掻痒感)」については、約4割の人に症状が現れるという報告もあります。ミノキシジル自体には、アレルギー反応や過敏症を誘発する作用はないといわれていますが、ミノキシジル外用薬に含まれる溶剤や添加物で「かゆみ(掻痒感)」が起きるのではないかと考えられます。
ミノキシジルの効果や副作用については、
などにも詳しい記事があります。ぜひご覧ください。
ミノキシジルはドラッグストアで買えます!
フィナステリドを入手するには医師の処方箋が必要なため、必ず医療機関を受診する必要があることは前述の通りです。
では、ミノキシジルを入手するにはどうすればいいでしょうか?
一般用医薬品であるミノキシジルの購入方法
ミノキシジル外用薬は、一般用医薬品に分類されています。そのため、医師の処方箋なしで、薬局やドラッグストアで購入することができます。
ただし、一般用医薬品のかなでも「第1類医薬品」に分類されているため、購入時に薬剤師から説明を受けなくてはならず、文書による情報提供も義務づけられています。
許可を受けた薬局などが運営するウェブサイトなどから通販で購入することもできますが、その際にも事前に薬剤師とのやりとりが義務づけられています。
ミノキシジルの購入方法については
フィナステリドとミノキシジルを併用したいならAGA専門クリニックへ!
フィナステリドとミノキシジルの併用は?
フィナステリドとミノキシジルは、どちらもAGA治療薬ではありますが、その作用はまったく違うことは前述の通りです。
では、この2つを同時に使用することはできるのでしょうか?
結論を言うと、可能です。
フィナステリドとミノキシジルの併用療法については、まだ大規模な臨床データはないようです。しかし、経験豊富なAGA専門クリニックの医師などは、その効果を認めています。
フィナステリドとミノキシジルには、安全安心な購入と使用を
ただし、フィナステリドは劇薬指定の医療用医薬品なので、自己判断で使用することには大きなリスクがあります。ネットでは、外国製ジェネリック医薬品のフィナステリドを個人輸入して使用する方法も紹介されていますが、健康疲憊のリスクだけでなく、場合によっては「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」に抵触する場合もあるようなので、おすすめできません。
餅は餅屋へ。
AGA治療は、AGA専門クリニックへ。
その人の体質やAGA進行具合などに合った、ベスト・チョイスの治療法を提示してもらえるはずです。ネット情報に惑わされることなく、AGA治療の王道をお進みください。

【まとめ】
AGA治療薬の2代巨頭ともいえる「フィナステリド」と「ミノキシジル」、その作用や効果の違いについてご理解いただけたでしょうか。
AGA治療はマラソンのように長い道のり。あなたに合ったロードマップに沿って治療を進めるには、AGA専門クリニックの医師のアドバイスは不可欠かもしれません。
薬は正しく使ってこそ、正しい効果が得られるものです。焦らず、慌てず、ミノキシジルと末永くつきあっていきましょう。