ミノキシジル大学

公開日:2018年11月8日

更新日:2018年11月12日

献血できない育毛剤がある! ミノキシジル使用者は献血できるのか?

献血できない育毛剤がある! ミノキシジル使用者は献血できるのか?

ミノキシジル使用中に献血? フィナステリド/デュタステリド服用中は献血ができない!

「ミノキシジル使用中は献血できるか?」献血は気軽にできる社会貢献の1つ。しかし、一部の育毛剤を使用中は献血はできません。ここでは、 献血をする人と、輸血や血液製剤を使用する人の健康を守るための「採血基準」、発毛剤・育毛剤の関係を解説します。

    (このコラムのポイント)

  • ミノキシジル使用中に献血はできるのか?
  • 献血について
  • 献血の「採血基準」について
  • 献血してはいけない育毛剤について

ミノキシジルを使用中に献血はできるのか?

唐突ですが、あなたは献血をしたことがありますか?
「注射が嫌いだから献血もしない」とか、「血を抜かれるなんて気持ち悪い」という方もいるかもしれません。逆に、いままでに何度もやったことがあるという方もいるでしょう。

ところで、「AGA治療をしていると献血ができない場合がある」って、知っていましたか?
どのようなAGA治療をしていると献血ができないのでしょうか? それはなぜなのでしょうか? ミノキシジルを使用している場合は、献血ができるのでしょうか?
ミノキシジルやAGA治療薬と献血の関係について、正しい知識を身につけておきましょう。

ミノキシジルと献血の関係を知る前に/献血についての基礎知識

「全血輸血」と「成分献血」

ところで「献血」で採血された血液が、どのように利用されるか知っていますか?
ちょっと古いドラマやアニメで主人公が大けがをして手術をするとき、「輸血用の血液が足りない。同じ血液型の人はいないか?」って医療関係者が訪ねると、主人公のライバルが「俺の血を使ってくれ!」って言う、そんなシーンを観た覚えはないですか?

この場合、ライバルから提供された血液は、ほとんどそのまま主人公に輸血されるのだろう、って思っていませんか? 確かにひと昔前まではそんなこともあったのかもしれません。しかし、現在行われている輸血は、ほとんどが“成分輸血”です。

血液そのものを輸血することを「全血輸血」といいます。一方、血液中のいろいろな成分を分離して、輸血される人に必要な成分だけを輸血する方法を「成分輸血」といいます。

成分献血で作られる「血液製剤」

血液は、人体に必要な酸素や栄養分・ホルモンや、不要になった炭酸ガスや老廃物を運ぶ働きをしています。
その血液は、3つの種類からなる「血球」と、「血漿(けっしょう)」に分けることができます。

  • 赤血球:肺で酸素を取り込み、体の各部へ運ぶ。
  • 白血球:体内に侵入した細菌などの異物を消化・殺菌・溶解したり、老廃物や異物の処理を行う。
  • 血小板:血管の損傷部位に血栓をつくって止血する。
  • 血漿:体内でできた炭酸ガス(二酸化炭素)を肺へ運び排出したり、栄養分や老廃物を運んだり、血圧の保持をする。

こうした働きを持つ血液は生きた細胞で、人間の体内でしか造ることができません。また、現在の技術では、血液の代わりをしてくれる人工物(薬剤など)を安価に、大量に造ることはできません。したがって、“献血”によって生きた血液を集めて、そこから「血液製剤」を造るしかありません。言い換えると、血液製剤を安定共有するには、ほぼ毎日、一定量以上の血液を集める必要があります。

安全な血液製剤を安定的に供給するために

かつては、日本でも民間の「血液銀行」というものがあり、個人から“有料で”血液を購入していました。いわゆる“売血”です。しかし、貧困層が生活費や遊興費目当てで過剰に売血をして健康被害を被ったり、性病や肝炎などのキャリアが売血した血液を輸血することで感染したりと、さまざまな問題がありました。

そこで、現在では売血は禁止され、日赤(日本赤十字社)による献血事業だけが行われています。そして、安全な血液製剤を安定的に供給するシステム維持のための法律(「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」※1)が施行されています。

(※1 参照|「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」

献血できない人もいる!ミノキシジルは?/育毛剤・発毛剤を使用している人は注意が必要

ところで、献血はだれでもできるのでしょうか?

献血できるかな?「採血基準」と「問診票」

献血はだれでもできるものではなく、さまざまな基準をクリアした人しか献血できません。
まず、厚生労働省の定めた「採血基準」をクリアしないといけません。
この基準は、献血する人の健康保護のためのもので、1回の献血量や献血の頻度(間隔)や年間の回数、献血をする人の年齢・体重・血圧などが定められています。

たとえば、200mLの全血献血には、下記の条件があります。
年齢/16〜69歳、
体重/男性45kg以上、女性40kg以上

また、献血をする場合には、「問診票」で、献血をする人の現在の健康状態や既往症・渡航歴・投薬状況などを確認します。
これは、献血をする人の健康を保護するとともに、輸血される方を感染症などから守るためです。
さて、その問診票のなかに、次のような設問があります。


次の育毛薬/前立腺肥大症治療薬を使用したことがありますか。
プロペシア・プロスカー等(1ヵ月以内)、アボダート・アボルブ等(6ヵ月以内)


なんと、育毛薬(剤)を使用していると、献血ができないのですね!

AGA治療に関心のある方なら、「プロペシア」や「アボルブ」という薬の名前を耳にしたことも少なくないはず。しかし、なぜ、これらの薬を服用していると献血できないのでしょうか? また、ここには「ミノキシジル」は書かれていませんが、ミノキシジルを使用している場合も、献血はできないのでしょうか?

(参照)

献血できない人もいる!ミノキシジルは?/育毛剤・発毛剤を使用している人は注意が必要

ミノキシジルは大丈夫? 献血をすることができない育毛剤とは?

アンチアンドロゲン系ホルモン剤服用中は献血不可。

日赤による医療関係者向けの解説では、次のように書かれています。


アンチアンドロゲン系ホルモン剤であるこれらの薬剤は、胎児に対する催奇形性が指摘されているため、プロペシア・プロスカー等は服用後 1 ヵ月間、アボダート・アボルブ等は服用後 6 ヵ月間献血してはいけません。
プロスカー及びアボダートは日本では医薬品として未承認ですが、育毛薬として個人輸入し、服用(経口)している人がいます。また、アボダートと同様の成分(dutasteride)を含むデュタスや、プロペシアと同様の成分(finasteride)を含むフィンペシア、フィンカー等のジェネリック医薬品も同様の扱いとなります。


※「アンチアンドロゲン系ホルモン剤」
アンドロゲン(男性ホルモン)がアンドロゲン受容体と結合するのを阻害する薬。抗アンドロゲン剤とも呼ばれる。

日本皮膚科学会が作成した「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」(※2)には、「ミノキシジルの外用(薬)」とともに「推奨度:A」のAGA治療法として、「デュタステリドの内服(薬)」と「フィナステリドの内服(薬)」が挙げられています。
このデュタステリドやフィナステリドを主成分とする薬には、テストステロンという男性ホルモンが、DHT(ジヒドロテストステロン)に変化するのを阻害する働きがあります。

そして、副作用の1つとして妊婦に投与した場合、胎児の生殖器官の正常発達に影響をおよぼすおそれが報告されています。
つまり、デュタステリドやフィナステリドを主成分とする薬を内服している人が献血をすると、その血液で造られた血液製剤にもそれらの成分が移行する可能性があります。
妊娠中の女性にも安心して輸血できるように、デュタステリドやフィナステリドを服用している人たちからは採血しないでおこう、ということです。

ちなみに「アボダート」と「アボルブ」は同じ製薬会社が製造・販売する、ほぼ同じ薬で、海外では「アボダート」、日本では「アボルブ」の名称で前立腺肥大症治療薬として承認されています。

同じ製薬会社が、男性型脱毛症治療薬として「ザガーロ」の名称で承認を受けた薬がありますが、じつはこれも成分はほとんど同じです(含有量が2種ありますが)。


製品名

アボダート

アボルブ

ザガーロ

製薬会社名

グラクソ・スミスクライン

グラクソ・スミスクライン

グラクソ・スミスクライン

主成分

デュタステリド

デュタステリド

デュタステリド

含有量

0.5mg

0.5mg

0.1mg/
0.5mg

適応症

前立腺肥大症

前立腺肥大症

男性型脱毛症

厚労省承認

未承認

承認

承認


また、「プロスカー」は前立腺肥大症治療薬として海外で承認された薬で、日本で男性型脱毛症治療薬として承認されている「プロペシア」と同じ製薬会社が製造・販売しています。これらは主成分(フィナステリド)は同じですが、含有量に大きな違いがあります。


製品名

プロスカー

プロペシア

製薬会社名

メルク

MSD*

主成分

フィナステリド

フィナステリド

含有量

5mg

0.2mg/
1mg

適応症

前立腺肥大症

男性型脱毛症

厚労省承認

未承認

承認

*MSDはメルクの日本法人。


また、どちらの薬にも海外製の(日本では承認されていない)ジェネリック医薬品(後発医薬品)もありますが、いずれにしろデュタステリドやフィナステリドを主成分とする薬を服用している人は献血をすることはできません。

プロペシアとミノキシジルの併用についてはこちらの記事にも詳しい情報が書かれています。

ご興味のある方は、合わせてお読みください。

ミノキシジル外用薬は「献血できます」。

一方、ミノキシジルに関しては作用機序がまったく違うので、この献血に関する問診では除外されています。また、塗り薬(外用薬)は種類に関係なく、とくに規制されてはいないようです(2018年7月現在)。

ただし、基準が変更される可能性もあるので、献血前の問診(面接)の時に、医師や看護師にきちんと伝えるべきでしょう。直接訪ねるのが恥ずかしい場合は、事前の電話などで問い合わせてもよいでしょう。

献血は、だれでもできる社会貢献の1つです。全国各地に血液センターや献血ルームなどがあり、わりと気軽に献血をすることができます。
もしかすると、あなたやあなたの家族が、事故や病気で輸血や血液製剤が必要になることがあるかもしれません。そんなときのために、一度献血について調べておいてはどうでしょうか。

(参考 日本赤十字社「献血をする」
(※2 参照|日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」

ミノキシジルは大丈夫? 献血をすることができない育毛剤とは?

【まとめ】

AGA治療薬と献血の関係について、ご理解いただけたでしょうか。男性ホルモンに作用するデュタステリドやフィナステリドを使用している場合、献血はできません。
一方、ミノキシジル外用薬については、とくに規制はないようです。

ミノキシジルとミノキシジルの副作用については「ミノキシジルっていったい何? その質問の答えがすべてここに」の記事と「AGA治療薬「ミノキシジル」の気になるさまざまな副作用とその対策について」にも詳しく書かれていますので、そちらもご参考にお読みください。

薬は正しく使ってこそ、正しい効果が得られるものです。焦らず、慌てず、ミノキシジルと末永くつきあっていきましょう。

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