フケに関するお悩み
公開日:2018年7月13日
更新日:2019年2月6日

フケと頭皮のかゆみに効果的な市販薬とは?病院の治療薬との違い
頭皮のフケやかゆみを放置しておくとますます症状が悪化します。フケが大量に発生し、粃糠性脱毛症や脂漏性脱毛症などの病気につながることもあります。
そうなる前に市販の治療薬や病院で治療薬の処方を受けて対処しましょう。頭皮のフケやかゆみの原因、そしてそれらへの対処法をご説明します。
■フケとは何か
フケは頭皮から剥がれ落ちた古い角質です。体の古い表皮が垢になるのと同じように、頭皮も代謝を繰り返して次々と新しい皮脂を生み出します。
肌の内側で新しい細胞が生まれるため、古い細胞は新しい細胞に押し出されるように外側に移動し、最後には剥がれて排出されます。このような皮膚の細胞が入れ替わる流れをターンオーバーといいます。
正常なターンオーバーのもとでは、頭皮の角質は剥がれるまでに非常に細かく、目に見えないほど小さくなるため気づくことはありません。ですが、ターンオーバーが乱れた場合、細胞が生まれてから剥がれるまでの期間が短くなり、角質は次から次へと生み出されるため未熟な状態で外側へ押し出されます。
角質はまだ細かくならないうちに外側へ剥がれるため目に見える大きさがあり、大きなフケとなって頭に付着するか、肩や首周りに落ちます。フケには大きく分けて二種類があります。角質が目に見える大きさで剥がれる、という点は共通していますが症状も原因も異なります。
乾性フケ
指で触っても湿り気がなく、パラパラと乾燥したフケを乾性フケといいます。乾性フケは白く粉のように細かく、肩や首元にパラパラと落ちて積もりやすいのが特徴です。 頭皮が乾燥していると乾性フケが発生しやすくなります。
脂性フケ
やや大きめで、ベタベタとした湿り気があるフケを脂性フケといいます。乾性フケに比べるとフケの塊がやや大きくて重さもあり、また指でつまむとベタベタして独特の臭いがします。
頭皮の皮脂が過剰に分泌されたときに脂性フケは発生しやすい傾向があります。頭皮に赤みが出るのも脂性フケの特徴です。
■軽度な症状は市販薬で対処 フケ・かゆみに効くおすすめの成分
フケの症状が軽度であれば市販薬でも充分に効果が見込めます。自分の症状を改善する効果がある薬かどうか判断するために、購入する際は成分表をしっかりチェックしましょう。
市販薬によく含まれている成分、作用と副作用について解説します。乾性フケの市販薬には、主に頭皮のかゆみや乾燥に対する成分が使用されています。
ワセリン
- 作用: 皮膚を保護
- 副作用: かぶれ、発疹、かゆみ
ワセリンは石油由来の成分で、強い保湿力があります。肌に全く浸透せずに表皮に残るのが特徴で、皮脂の代わりに頭皮を保護します。
同様に保護膜としてよく使われるヘアオイルなどは空気に触れると酸化して劣化しやすいのですが、ワセリンは劣化しにくく長もちします。
出典:日経メディカル 「白色ワセリンの基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)|日経メディカル処方薬事典」
尿素
- 作用: 皮膚を保護、乾燥の防止、角質の軟化
- 副作用: 皮膚損傷部、粘膜への刺激性がある
ハンドクリームなどによく含まれている成分で、ワセリン同様に保湿効果を期待できます。尿素は分子量が小さく水によくなじみます。
また、タンパク質を溶かす作用もあり、乾燥して固くなった肌を柔らかくします。
出典:日経メディカル 「パスタロンソフト軟膏10%の基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)|日経メディカル処方薬事典」
クロタミトン
- 作用: 皮膚のかゆみ、炎症を抑制
- 副作用: 熱感、かゆみ、ひりひり感、発赤、発疹、湿疹、紅斑(こうはん)、血管浮腫
主に頭皮のかゆみや炎症を抑える成分です。乾燥によるかゆみを抑え、頭を掻きむしることを予防します。頭皮の潤いを保ちながら頭皮のかゆみを止めることで、乾性フケの発生を抑えます。
出典:日経メディカル 「オイラックスクリーム10%の基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)|日経メディカル処方薬事典」
ジフェンヒドラミン
- 作用: アレルギー性皮膚反応の抑制、かゆみ抑制
- 副作用: 発赤、腫れ、かゆみ、湿潤(しつじゅん)
かゆみ止め成分であり、かゆみのもとであるヒスタミンの発生を抑える抗ヒスタミン剤の一種です。乾燥して肌のバリアが弱くなることで発生するかゆみ成分、ヒスタミンを抑制します。
出典:日経メディカル 「レスタミンコーワクリーム1%の基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)|日経メディカル処方薬事典」
グリチルリチン酸ジカリウム
- 作用: 痛みやかゆみの抑制、湿疹、皮膚炎、蕁麻疹の改善
- 副作用: アレルギー反応、蕁麻疹、発熱、熱感
かゆみ止め成分であり、炎症作用を抑える効果があります。甘草に含まれ、古くから薬として扱われていた成分です。
主な効果は抗炎症・抗アレルギーです。厚生労働省によっても効果があると認められており、シャンプーなどの化粧品にもグリチルリチン酸ジカリウムが含まれていることがあります。
出典:日経メディカル 「グリチルリチン製剤の解説|日経メディカル処方薬事典」
乾性フケの治療に市販薬を使う場合、これらの成分が配合されていると効果的です。また、副作用があることから、用法用量を守っての使用を心がけましょう。
■フケからわかる頭皮の状態
上記の成分が含まれた市販薬を使っても改善されない場合、あるいはフケが多量に生じて脱毛症状が出ている場合は、皮膚炎や脱毛症に悪化している可能性があります。
乾性フケと脂性フケが悪化して起こる脱毛症、皮膚炎をそれぞれ説明します。
乾性フケが悪化して起きる脱毛症・皮膚炎
乾性フケが出るとき、頭皮で粃糠(ひこう)性脱毛症が起きている可能性があります。
粃糠性脱毛症とは、フケと脱毛が大量に発生する症状です。大量のフケによって頭皮の毛穴が塞がれ、その影響で髪が育ちにくくなるため脱毛症状が起こります。粃糠性脱毛症で発生するのは乾性フケで、頭を撫でるだけでもパラパラと落ちるほど大量のフケが出ます。
またフケに加えてかゆみもある場合は、アトピー性皮膚炎になっている可能性があります。
アトピー性皮膚炎の人の皮膚はバリア機能が低下しており、皮膚が刺激に敏感な状態です。そのため外部からのちょっとした刺激でかゆみが生じてしまいます。
出典:アトピー性皮膚炎について 京都府立医科大学皮膚科 「Microsoft PowerPoint – 【資料 3】加藤委員提出資料(配布用)」
アトピー性皮膚炎の発生要因や悪化するとどうなるのかを以下の記事を参考にしてください。
アトピーがフケやかゆみの原因!発症原因と症状を止める対策法頭皮のかゆみは放置するとハゲる?かゆい頭の原因と解決法
脂性フケが悪化して起きる脱毛症・皮膚炎
脂性フケが多く出る場合、脂漏性皮膚炎が起こっている可能性があります。脂漏性皮膚炎は菌の繁殖で起こる炎症で、脂性フケが大量に発生し、激しいかゆみや頭の赤みなどの症状が現れます。
また症状が悪化すると皮脂の分泌がさらに増え悪臭を発するのも特徴です。脂漏性皮膚炎自体は脱毛の症状はないのですが、頭皮の状態を著しく悪化させるので派生して脂漏性脱毛症につながるケースは多々あります。
脂性フケの人は脂漏性皮膚炎になっているかどうか確認しましょう。以下の記事では、脂漏性皮膚炎になっているかのチェック方法や対策法を紹介しています。
■フケを伴う病気は病院で治療しよう

フケが大量に発生し、病気まで起こると頭皮の環境が著しく悪化し、薄毛や脱毛につながる可能性もあります。これらの症状は、自然治癒は見込めません。早めに治療を始めましょう。
病院で適切な診断を受けよう
素人の判断で症状を推測して治療を試みても、治る見込みも小さく、メリットがありません。
「白いフケが出ているから粃糠性脱毛症だ」と自己判断したものが実は脂漏性脱毛症だったという場合もあります。
自己判断ではなく、皮膚科で診断を受けて原因をはっきりさせてから治療に臨む方が確実ですし、早期の改善も見込めます。
処方薬で効果的な治療をしよう
フケを伴う頭皮のトラブルには主に投薬治療を行ないます。医師の診断を受けて、乾性フケか脂性フケかどんな病気が原因かを確認した上で、症状に適した効果的な治療薬を処方してもらいましょう。
脂漏性皮膚炎の治療の場合は、ケトコナゾールやロキシスロマイシンなどの薬を処方してもらえます。これらは原因菌の増殖を抑えたり、死滅させたりする作用があるので、市販薬よりも高い効果が得られます。
適切な判断と効果的な治療薬の処方が受けられるため、症状が重いときや不安に思われたときは医師の診断と処方を受けることをおすすめします。
■治療だけでなく毎日のスカルプケアも大切
フケの治療と併せて毎日シャンプーを行なうことも大切です。フケ、かゆみに悩む人におすすめのシャンプーを男女別にご紹介します。
男性におすすめのシャンプー
男性は女性と比べて皮脂の分泌量が多く、脂漏性皮膚炎のリスクが高いので皮脂汚れをしっかり洗い流せるシャンプーを選ぶことが大切です。
ただ、洗浄力が高ければ高いほど良いわけではありません。ある程度の洗浄力は必要ですが、皮脂の落とし過ぎは頭皮の乾燥や、皮脂の過剰分泌につながります。ですから洗浄力がやさしいアミノ酸系のシャンプーを選びましょう。
女性におすすめのシャンプー
女性は男性と比べ皮脂の分泌量が少ないので、低刺激で保湿力が高いシャンプーを選びましょう。
ローションでのケア
また、頭皮の乾燥がひどい場合はローションでの保湿が有効です。
フケ、かゆみは自然治癒を期待せず積極的に治療を

大量のフケや頭皮の激しいかゆみは、頭皮で起きているトラブルのサインのようなものですから、自然治癒を期待せずに治療薬を使ってフケ・かゆみの問題を根本的に解決しましょう。「そのうち治るだろう」と放置していると症状はますます悪化し、深刻な病気につながるリスクもあります。
乾性フケなら粃糠性脱毛症やアトピー性皮膚炎、脂性フケの場合は脂漏性皮膚炎や脂漏性脱毛症になる可能性がありますので、気になったら皮膚科で診断してもらいましょう。病院ではフケやかゆみの症状に合わせて治療薬を処方してもらえます。
市販薬もありますが、効果と副作用とのバランスの判断も難しいですから、不安な場合は診断を受けた医師に処方してもらうことをおすすめします。
また頭皮のフケやかゆみが改善した後も油断は禁物です。食事、睡眠などの生活習慣が乱れることで再びフケやかゆみが起こることが考えられます。健やかな頭皮環境を維持するためにもフケやかゆみの予防方法を以下の記事で確認しましょう。